センサやアクチュエータに時間的な遅れが存在する入力むだ時間系は、予測制御を用いることで、集中系と同じような性能をもたせることができる。しかしながら、実際的な側面においてはまず制御対象を同定することからはじめなければならない。むだ時間の値を正確に同定する研究も必要であるが、入力むだ時間系において、むだ時間の値を必ずしも正確に同定することだけが重要ではない。むしろ制御性能を上げるために適した同定手法を用いる必要がある。以上のことから、入力むだ時間系の同定と制御系設計の統合的制御系設計の研究を行い、以下の実績が得られた。 1.入力むだ時間系に対して、集中系で知られているWindsurfer Approach(内部モデル制御)に適した閉ループ同定手法(間接法)を考案し、考案した同定手法から、閉ループ同定と制御系設計の繰り返し制御方法を提案した。 (1)上記手法の理論を計測自動制御学会論文集に既発表。(2000年7月) (2)手法を冷却温度制御実験によりその実用性を確かめ国際会議において発表した。(2003年9月) 2.状態空間モデルで記述された入力むだ時間系に対して、最適レギュレータを構成するために適した同定手法(入力むだ時間系で閉じているもの)を考案し、考案した同定手法から、同定と制御系設計の繰り返し制御系を構成した。システム制御情報学会誌において発表した。(2002年4月) 3.入力むだ時間系に対する古典的な手法であるスミス法と内部モデル制御の関係についてまとめ、国際会議で発表した。(2003年8月) 4.離散時間のむだ時間系についての安定性について考察し、発表。(2002年9月) 5.むだ時間系の制御手法を電気炉の制御に応用し、発表。(2003年9月)
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