研究概要 |
前年度に提案し解析した債券を支配する金利に対する期間構造モデルの数学的拡張を行った。通常債券の金利モデルを構成するには短期金利(スポットレート)と長期金利(ロングレート)を両方直接モデルに組み込むことは行われないが、これらのプロセスは統計的解析の結果、相互に強い相関があり、かつジョイントマルコフ過程であることが知られている。そこで前年度開発した放物型偏微分方程式で表現される金利モデルにおいては、放物型特有の境界条件を設定する必要が生じることより、この短期金利と長期金利をこの境界条件に組み込むことを考案した。短期金利と長期金利を生成するモデルを個別に構成する従来の方法を採用せず、境界条件自身にダイナミックスを持たせ、その自然な結果として、短期金利と長期金利プロセスが偏微分方程式の境界値として得られるモデルを構築した。さらに実問題においては、取り扱える債券は有限個数であり考察する市場は非完備となるので、オプションの価格付け自体あまり意味を持たなくなる。そこでオプションの価格付け問題を、現有する富の最大化問題に変換しそのポートフォリオの構成問題を解く手法の開発を行った。まず上述の富の最大化の問題を、さらにシステム制御分野で取り扱われる指数関数規範の最適制御商題に変換し、ダイナミックプログラミングを使用して、最適ポートフォリオを導出し、その構成アルゴリズムを提案した。その結果の一部は、以下のシンポジウムで口頭発表を行った。 JAFEE 2003 冬季大会 Optimal Portfolio Control for Parabolic Type Factor Model with Power Utility pp.265-278,12月21日 学術総合センター 一ッ橋記念講堂
|