14年度は双曲型偏微分方程式による期間構造モデルの構築に的を絞って研究を行なった。不規則に変動する要因として、制御理論でよく使用される無限次元のブラウン運運動を採用し、金融工学で重要な概念である、無裁定条件(無から有が生じない条件)を適用するための条件は、提案された雑音の核関数形への制限として表現されるので、この条件を満足する関数の具体例を2^<nd> World congress of Bachelier Finance Societyで口頭発表を行った。さらにこの期間構造モデルの拡張を試行した結果、ある種の放物型偏微分方程式でモデル化できる可能性があることが解明された。そこで非常に単純な場合を想定して、期間構造モデルを熱拡散モデルとして表現し、無裁定条件が適用できる場合の十分条件を導出した。さらにmean variance portfolioを構築する1手法を提案した.この結果の一部は、2002 IFAC 15^<th> Triennial World Congressで報告した。 15年度においてはVolatilityの推定問題とPower Utilityを最大化するportfolioの導出問題の導出と解析に専念し、13th IFAC Symposium on System Identificationで推定問題の成果の一部をさらに35th Int.Symp.on Stochastic Theory and Its Applicationsにおいて最適化問題の成果を発表した。 16年度は米国国債のデータを用いて、提案された債権の期間構造モデルのマッチングを行った。その成果の一部はJAFEE 2004 Winter meetingで発表したが、このモデリングには未解決の様々な問題があり、その解決手法の開発を17年度科学研究費の新規申請テーマとした。
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