海水中と淡水中における凍結融解の繰返しがコンクリートのスケーリングに及ぼす影響を明らかにすることを目的として水セメント比が異なる供試体を用いて最低温度と冷却速度が異なる凍結融解試験を行い熱的分析挙動に基づいて検討した結果、以下の知見を得た。 1)海水中で最低温度が低い凍結融解試験を受けた場合にスケーリングが多く発生した。この原因について検討した結果、海水の作用を受けてセメントペーストマトリックスに海水が浸入すると細孔の飽水度が高くなり、温度の低い凍結融解試験を受けることによってさらに海水が浸入し、スケーリングが多く発生することを明らかにした。 2)海水中で冷却速度が遅い凍結融解試験を行うと海水と凍結融解の作用を受けてセメントペーストマトリックスに海水が浸入しスケーリングが多く発生した。冷却速度が遅い場合の温度制御プログラムは氷点以下で制御される時間が長い。その時間の長さがスケーリングの発生要因となることを明らかにした。 3)水セメント比が高い海水浸漬供試体にスケーリングが多く発生した。水セメント比が高いとセメントペーストマトリックスが水によって満たされ海水の作用を受けるとこの傾向がより顕著となりスケーリングが発生しやすくなることを明らかとなった。
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