研究概要 |
軽量で吸水率の大きい火山礫を用い、空隙率20〜40%のポーラスコンクリートの単位容積質量、透水係数および強度などの基礎物性値を求め、20℃、60%RH大気中における,放水率の経時変化を測定した その結果、空隙率の増加に伴い、単位容積質量は、1〜1.1kg/lの範囲で減少、透水係数は0.8〜4.5cm/sの範囲で増加、また、圧縮強度は、0.5〜1.8N/mm^2の範囲で減少することが明らかとなった。 このコンクリートの吸水率は、空隙率の影響を大きく受けず、水中浸漬後2時間程度で40〜45%の範囲で一定であり、舗装用ポラスコンクリートのおよそ10倍の値が得られた。このような吸水傾向は、火山礫粒子自体のそれとほぼ等しいことから、粗骨材として用いた火山礫粒子が吸水しているものと判断された。放水率においては、48時間経過後で舗装用ポーラスコンクリートに比べて13.8〜15.9倍程度大きく持続的に水を放出する事が確認できた。48時間経過後において、空隙率20%で放水率が最も小さく、30および40%ではこれより約4%大きく同一であること、そして放水前の吸水率がこれらにおいてほぼ一定であることを考えると、ペースト粗骨材容積比を一定とした場合、空隙率を小さくして火山礫を多く用いた方が、放水は長時間持続するものと判断された。 これらの結果から火山礫ポーラスコンクリートは保水性が大きいことから、水分の蒸発によるヒートアイランド現象緩和など環境負荷低減型材料としての特性を有するものと判断された。
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