研究概要 |
大都市だけでなく中小規模の地方都市においてもヒートアイランド現象が発生してきており,この現象を緩和できる環境負荷低減機能を有する建設材料の開発が望まれている.このため,軽量で,吸水率が大きい火山礫をポーラスコンクリートに用いた場合について各種検討を行い,以下の結果が得られた. このコンクリートは,単位容積質量は小さく,吸水した場合,屋上緑化の基盤材として使用できること,圧縮強度は2N/mm2程度であるが,吸音率は,一般的な開粒度アスコン混合物の約1.5倍であること,吸水率は,舗装用ポーラスコンクリートより約10倍大きく,放水は,これと比較して初期に緩速で,長時間継続する傾向が認められた.火山礫粒子自体の空隙特性により,一定温湿度の条件下では,初期放水速度が小さく48時間吸水量が大きい配合を用いた場合,体感温度低減効果の持続性や高い吸音特性を有しており,環境負荷低減特性を有することを明らかにした. 屋外暴露試験において測定した平版断面中心温度は,普通コンクリートの場合,気温と同程度であるが,火山礫を用いたポーラスコンクリートの場合,気温より1〜9℃低くなることが検証され,熱収支を実測値により計算した結果,暴露試験7日目で0.27MJ/m2程度の流入熱量が潜熱として解消された.また,このコンクリートを用いた平版の断面中心温度と気温の間には,配合に拘わらず,高度の相関が認められ,気温が低いほど,断面中心温度が低く,断面中心温度の低くなる初期放水速度の大きい配合により,気温の上昇を抑制できることが明らかとなった.
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