平成14年度は、鉱物質微粉末のセメント水和物接続架橋効果に関して、多くの要因の影響をカバーしたできるだけ多くのデータを効率的に収集することを主目的としており、交付申請書に記載した実験については、これから数ヶ月後に行う材齢1年の強度試験を除き、ほぼ予定通りに終了した。 現在、材齢91日までの実験結果の解析を進めているが、これまでに得られた主な知見は以下のようである。 (1)平成14年度に計画・試験した水セメントの範囲(40〜60%)では、単位セメント量の25%をこれと同体積の鉱物微粉末で置換した場合の水和物接続架橋効果は、長期材齢も含めて全般的に見ると、微粉末粒子が細かいほど大きくなる傾向にある。しかし、その差は最大でも10%程度と予想外に小さく、特に、コンクリートの設計基準強度の一般的材齢である28日以内においては鉱物質微粉末の細かさによる相違は全くない。 (2)セメントペースト中に存在する鉱物質微粉末がモルタル等の強度発現に及ぼす効果には、(1)水とセメントのみからなる相の水セメント比を結果的に小さくする効果、(2)セメント粒子間に存在する微粉末粒子が水和物を実際に架橋する効果(真の水和物架橋効果)および(3)水セメント比が小さい領域においてセメント水和物生成空間を増加させる効果(微粉末効果)があると考えられる。
|