研究概要 |
平成15年度は,鉱物質微粉末の水和物架橋接続効果に関し,できるだけ客観的,かつ定量的な情報が得られるよう,前年度の実験結果を補充する実験を行うとともに,品質が相違する4種類のフライアッシュに対して本研究の成果を適用してそれらの真の活性について調べることを目的としており,ほぼ予定通りに全ての実験等を終了した. 現時点までに得られた主な知見は,以下のようである. 1.実用的な水セメント比の範囲(W/C≦0.80)では,活性のない鉱物質微粉末であっても,セメント水和物を架橋接続し,セメント硬化体の強度を増進させる効果を有している. 2.鉱物質微粉末のセメント水和物架橋接続による強度増進効果は,実用的には,ペースト相における実質のセメント水比によって評価できる.換言すれば,活性のない鉱物質微粉末を混入したモルタルの圧縮強度は,そのペースト相の水セメント比によって決まる値とほぼ同等になる.ただし,実際の強度は水セメント比より決まる値より大きくなる傾向にあり,実際に水和物同士を結びつける狭義の架橋接続効果もある. 3.活性を有する鉱物微粉末の場合は,水セメント比が0.40程度より大きい範囲で使用することにより,その結合能力を有効に活用できる. 4.フライアッシュの活性(ポゾラン反応性)は,温度依存性が極めて高く,10℃以下の温度条件下では1種のフライアッシュでも材齢91日の強度増加にほとんど寄与しない.これに対し,常圧の高温条件下であれば,品質が悪いと考えられているIII種およびIV種のフライアッシュでも,良好な強度増進効果を発揮する.
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