研究概要 |
本研究では,防災科学技術研究所のK-NETやKiK-netなどによって観測された強震データを解析し,短周期震源スペクトル強度と地震モーメントM_0の関係について調べ,地震の相似則がどの程度厳密に成立しているかの検証を行い,その結果を強震動予測に用いることを目的としている. 1997年鹿児島県北西部地震,2000年鳥取県西部地震,2003年宮城県北部地震,および,2004年新潟県中越地震が発生した地域では,M_w=4〜6クラスの地震記録が多数得られている.震源域を取り囲んで,震央距離が約60km以内の観測点でのtransverse成分記録について,各観測点でスペクトル比(最大地震/他の地震)をとり,これとM_0の比との関係を調べた. もしここで解析した地震の問に相似性が成り立っていると仮定すると,短周期震源スペクトル強度は地震モーメントM_0の1/3乗に比例することが期待される.しかしM_0【approximately equal】10^<17>Nm程度を境として,大地震の方が単位モーメント当りより多くの短周期波動エネルギーを放出しており,相似性は厳密には成立していないことが分った. これらの結果に基いて,「地震の相似則からのずれ」が「経験的グリーン関数法による強震動予測結果」にどの程度影響するかについて評価した.マグニチュードが2程度小さい地震の際の観測記録を用いて,「地震の相似則」を仮定して強震動予測を行うと,地震動の大きさを1/2程度に過小評価する可能性がある.従って,将来の大地震に対する強震動予測の際には,地震の相似性からのずれを適切に補正する必要がある.
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