研究概要 |
研究を行なった項目は,1)簡易加振装置の製作と検討,2)推定システムの構築と適用,3)推定システム改良の検討,4)距離減衰式の適用性の検討,5)卓越振動数の測定と検討の5項目である. 項目1):総質量が30kg程度の重錘-ばね方式の加振装置を製作した.サージ波が問題となったため,ばねの固有振動数が十分大きな値になるように設計し,ローパスフィルタでサージ波を取り除いた.加振装置を用いた現場測定を行ない,概ね設計通りの加振力波形が得られることを確認した. 項目2):項目1)で得た実測の加振力波形を用いて,実地盤を半無限粘弾性体に模擬したときの地盤定数を推定するニューラルネットワークを構築した.推定システムは実務に応用できる可能性を有することを確かめた.また,学習範囲について検討し,適当な範囲の設定が必要であることが分かった. 項目3):ニューラルネットワークの改良について検討した.項目2)では3点の鉛直変位とピーク時間差を入力パラメータとしているが,時間差の代わりに水平変位を用いることを調べた.種々の地層構成に対する検討の結果時間差をパラメータから除くことは推定システムの改善に繋がらないことが分かった. 項目4):推定地盤定数を用いて半無限粘弾性体の距離減衰を計算し,Bornitz式の幾何減衰の指数n,内部減衰の係数αに結び付けるための検討を行なった.また,簡易距離減衰式としてBornitz式を利用するため,数値シミュレーションにより層状地盤への適用性を調べた. 項目5):簡易予測の立場から,昼間に行なう簡単な測定で観測点の卓越振動数を抽出できるか,また得られた卓越振動数は利用できる可能性を有するかなどについて基礎的な検討を行なった.卓越振動数は極浅層の地盤情報を得るのには有用でない可能性があることが分かった.
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