過去の大地震時に見られる鉄筋コンクリートや鋼製の橋脚等が崩壊したり、座屈変形する現象の原因は設計荷重以上の水平力による曲げモーメントとせん断力で説明されているが、我々は過去の被害調査や杭の打撃に関する研究などから巨大な加速度をもつ、極短周期の衝撃波動によると推定している。破壊の原因が衝撃波動によるという学説は地震工学の世界では少数派に留まっている。地震波動の中にそのような波が存在することを立証するところから本研究は出発している。 本年度は数100Hzから数1000Hzの振動数領域で数10gから数100gの波動を捕捉できる地震計(広帯域地震計)の開発に専念することとした。開発では、これまでに試作してきた地震計の性能をさらに向上、合理化することに目標を置いて作業を進めた。その結果、新たに3台の試作機を作ることができた。 本地震計の性能をチェックするために普通の地震計と比較する必要がある。そのために1台を本学に設置している一連のアレイ地震計の他、つくば市の国土交通省国土技術政策総合研究所の地震計とも併設して今後の地震発生に備える協議を始めた。設置は堅固な地層に寝入れした基礎を有する構造物に取り付ける必要があることから次年度は新しい地震計の設置と衝撃波動の試験を計画している。
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