昨年度に製作した広帯域地震計は感度が鋭敏で、人が近くを歩いただけでも作動するので本年度は部品の改造を重ねて地震計の改良に努めた。また、3月11日につくば市で記録された地震では狙い通りの上下方向の短周期地震動(最大加速度4gal)を記録することが出来たが、トリガーの設定時間が短く、地震動の最初の部分がカットされていたために全体を把握できなかった。それでも、スペクトル解析の結果、17Hzに20gal程度のピークがあり、500Hzまでの記録を取ることが出来た。一方、国土交通省の国土技術政策総合研究所の強震計の記録では最初の部分にスパイク状の大きな波動があることからプレトリガーの設定は極めて重要である。しかし、本格的な強震計との連動では費用や配線等の問題もあるところから簡易型の強震計の使用も検討の対象としたい。 新年度は最終年度となるために、現在進めている広帯域地震計の改造を終了させ、強震計と併設して来るべき地震は動を捕捉すると共に15年度に計画していた衝撃波動の実験を行い、当該地震計の性能の確認や衝撃波動の存在とその性状の把握に努めたい。計画している衝撃試験は太さ、長さの異なる鉄筋を、高さを変化させて落下させるもので、本来の地震動とは異なるが、衝撃波動の把握には適していると考える。 これらの試験結果に基づいて衝撃波動に対する耐震設計方法を検討し、具体的な配筋等の詳細構造を提案したい。
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