研究概要 |
本研究では,非線形系にガウス過程でモデル化される外乱入力が作用する場合を対象として,有限個のサンプルを用いて解析的な手法を併用しつつ,準解析解を求めていくことで計算の効率をはかることを行っている.そして,初期通過確率を求めるために,数値的に得られた応答データを逐次取り込み,カルマンフィルタのアルゴリズムを併用した準解析法(Pseudo Analytical Method)^<10),11)>を開発するものである.システムが非線形のため出力が非ガウス性となり問題の本質的な難しさとなっているが,それを解くために問題をガウス性に如何に帰着させるかが課題である. まず,システムの非線形支配方程式を,確率論的等価線形化法により線形化する.次に,その振動方程式を離散型状態方程式に変換し,外乱をホワイトノイズとする.以上により,離散型状態方程式は,ホワイトノイズを入力とするMarkovian状態方程式となる.この状態方程式とオリジナルシステムから得られる応答解析データをカルマンフィルタに適用し,状態ベクトルの最適推定値および2つの隣接する時刻kとk+1の結合ガウス確率密度関数を作成することにより,ガウス性およびマルコフ性を有している故に全継続時間中の信頼性を評価するための初期通過確率を算定することが可能となる手法の開発を行った. 加えて,提案する手法の効率化を図るために破壊領域に達するサンプル実現値を効率的に発生させ,重要サンプリング手法の考え方を適用するための理論構築を行っている.
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