研究概要 |
平成14年度は,研究計画・方法に基づき,集成材を使用した近代木橋の2橋に対する実橋実験の実施,実験と3次元構造解析の両面に基づく近代木車道橋・歩道橋の静的および動的パフォーマンス、使用性の実態把握を検討した。その結果,以下の知見と成果が得られた。 (1)わが国および諸外国を含めた近代木橋の架設実績に関して,歩道橋,車道橋(道路橋),架設年,集成材の樹種,構造形式,支間長,設計条件,構造特性値などの各要因別のデータを収集すると共に,橋梁工学の観点からの要因分析を行い,近代木橋の実態を定量的に分析した。 (2)平成14年7月に近代木歩道橋である「神楽橋(下路アーチ):富山県新湊市」,および平成14年11月に自動車荷重25(A)で設計された近代木車道橋「八幡橋(2連下路アーチ):新潟県山北町」の静的・動的実験を実施した。そして,実験データを分析すると共に,3次元静的および固有値解析を行い,近代木車道橋と歩道橋の制的・動的特性、構造剛性、設計係数の妥当性検証,使用性評価などを実験と解析の両面から検証した。 (3)近代木橋と一般的な鋼橋,RC・PC橋との構造特性値との定量的な比較検討に基づく近代木橋の構造特性としてのパフォーマンスと相違点を検討した。その結果、「神楽橋」と「八幡橋」の鉛直曲げ1次固有振動数から評価すると,2橋の近代木橋はいづれも他橋梁と同等の剛性を有しており強度や安全性にも遜色がないこと,減衰性能は他の一般橋梁と同程度であるが、近代木橋に比べると下路アーチ特有の構造特性から、若干小さな傾向を示す。 (4)過去に実験が行われた17橋の近代木橋に対象に、静的・動的特性としての構造パフォーマンスの実態評価およびその構造特性が性能型設計法の性能規定として可能かどうかの方法論とその規定法を検討した。特に、合理的な設計衝撃係数(動的増幅率を一つの動的応答係数として定義)の規定値を実験値からの評価と適用性を検討した。
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