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2002 年度 実績報告書

鉱物の溶解速度を考慮した岩盤掘削ずりの埋立合理化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14550491
研究機関北海道大学

研究代表者

五十嵐 敏文  北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90301944)

研究分担者 朝倉 國臣  北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20002305)
キーワード黄鉄鉱 / 方解石 / 溶解・沈殿 / 溶出試験 / 溶解速度 / 酸化・還元 / バッチ法 / 溶出量調査
研究概要

黄鉄鉱が還元環境から酸化環境に曝されると,酸化が進行し水との接触により酸性の硫酸を生ずる。一方,方解石は溶解するとアルカリ性を呈することから,それらを混合することにより溶出水pHを制御できると予想される。そのため,黄鉄鉱を含有する粉砕岩石と方解石を含有する粉砕岩石とを種々の割合で混合し,バッチ法に基づく溶出試験を行った。その結果,黄鉄鉱含有量と方解石含有量との比率によって溶出水pHを制御できることが明らかになった。しかし,それらの溶解速度の相違により,pHが安定するまでには1ヶ月程度の時間が必要であることがわかった。ただし,pHが5以下の場合は,方解石の溶解により溶出する重炭酸イオンが二酸化炭素にまで変化するため,中和能を発揮できなくなることもわかった。
黄鉄鉱の酸化速度に関しては,室内試験および現地観測により評価した。バッチ法に基づく室内試験では,黄鉄鉱の酸化が表面における一次反応と内部からの拡散反応との2段階のメカニズムにより溶出が進行することから,それぞれ一次反応速度定数,内部拡散係数によって溶出現象が評価できることがわかった。また、黄鉄鉱の酸化に起因する酸性河川における流量と酸化生成物である硫酸イオン濃度変化から,年間あたりの黄鉄鉱酸化速度を評価した。その結果,硫酸流出量は,表層岩盤中の黄鉄鉱含有量,風化速度と関係し,年間単位流域面積km^2あたり24トンにまで達することがわかった。この量は,年間風化速度0.25mmに相当することが明らかにされた。上記の結果を踏まえ、黄鉄鉱および方解石の酸化溶出現象を模擬するためのカラム試験方法を検討し,来年度以降の実施にむけて準備を行っている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 五十嵐敏文, 井筒崇文, 岡泰道: "2段階溶出モデルによる黄鉄鉱の酸化・溶解速度の評価"応用地質. 43・4. 208-215 (2002)

  • [文献書誌] Igarashi, T., Hataya, R., Oyama, T.: "Estimation of pyrite oxidation rate by sulfate ion discharged from a catchment"Journal of Geochemical Exploration. 77・2/3. 151-165 (2003)

  • [文献書誌] 丸山悠, 五十嵐敏文, 朝倉國臣: "黄鉄鉱・方解石混合系の粉砕岩石試料からの溶出水の性状"資源・素材学会北海道支部平成14年度春季講演会講演要旨集. 13-14 (2002)

  • [文献書誌] 五十嵐敏文, 丸山悠, 朝倉國臣: "黄鉄鉱含有堀削ずり浸出水の酸性化緩和のための方解石の利用"土木学会第57回年次学術講演会講演概要集(部門VII). 597-598 (2002)

  • [文献書誌] 丸山悠, 五十嵐敏文, 朝倉國臣: "黄鉄鉱含有堀削ずり浸出水の酸性化対策-方解石含有堀削ずりの活用-"日本応用地質学会平成14年度研究発表会講演論文集. 57-58 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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