研究概要 |
臨海部の埋立地は,航路や河川の整備・維持のために生じる浚渫粘土で埋め立てられる場合が多い。この浚渫粘土の圧密促進のために,プラスチックボードドレーン(PBD)による鉛直排水工と地下水位低下を併用した新しい圧密促進工法が開発され,試験工事でその有用性が確認できた。しかし,浚渫粘土ような自重圧密が卓越する場におけるドレーン効果の不明確さ,地下水位低下によって浚渫粘土内に発生する負圧の不明確さ,鉛直排水工の効果が及ばない表層部の処理などの問題を残している。そこで本研究は,この工法による浚渫粘土地盤の圧密のメカニズムおよび表層部の圧密促進も含めたより効率のよい工法に発展させる手法を遠心模型実験によって開発することを目的としている。 本年度では「浚渫粘土の自重圧密場における鉛直排水工による圧密促進効果」を調べる研究を行った。粘土の含水比150〜300%,層厚10〜20cm(100gの遠心場で10〜20mに相当)を対象とし,まず,基本条件としてサンドドレーンのような円筒ドレーンの直径とピッチを変えた実験を,次に,PBDのような帯状ドレーンの幅とピッチを変えた実験を行い,その圧密促進効果を調べた。これらは粘土地盤内にドレーンを固定した条件で行ったが,さらに,実地盤と同様に粘土の沈下変形に追随する条件で帯状ドレーンのピッチを変えた実験を行った。これらの結果から,ドレーン直径や幅の効果,帯状ドレーンを円筒ドレーンに換算する手法,ドレーンの固定条件と追随条件の違いが見いだされた。また,これらの結果を既存の圧密理論と比較し,自重圧密場には一般に使われるBarron解は不適切であること,自重圧密を考慮した一次元圧密解と合成した解であれば,かなり実験結果を説明できることなどが見いだされた。
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