地盤の比抵抗を用いて地盤の亀裂の検知、および地盤汚染に関連して地盤中の重金属や有機溶剤の検知を行うために実験的研究を行った。 なお、これまでの研究から、地盤の比抵抗は土質、間隙物質、飽和度等に強く影響され、またその測定には0.1mA程度のAC電流が適していることが分かっている。 地すべり地の検知を目的に、地盤亀裂が検知できるかどうかについて、調べた結果つぎのことがわかった。 1.粘土塊に溝を作成し、ステンレスの針4本を電極とし、その溝をまたぐように電極を刺して比抵抗を測定すると、溝の深さに対して比抵抗が増大する。これより、地盤中のクラック等の検出に比抵抗測定が使用できる。 2.比抵抗と溝の深さの関係は、溝の深さが刺した針の長さを越えるとほぼ線形となる。さらに詳細な実験を行うことによって、クラックの大きさ等の推定が可能と思われる。 地盤疎遠に関して、水平浸透型実験土槽を製作し、電送コーンを用いてモニタリングが可能かどうか調べた。その結果つぎのことがわかった。 1.電導コーンを用いて、水辺浸透中の重金属イオンが検知できるかどうか実験によって調べたところ、鉛、ニッケルおよび亜鉛について、約1ppmの濃度まで検知できることがわかった。 2.同様に、トリクロロエチレンについて0.1、1、10、100ppmの濃度の水平浸透実験を行った結果、1ppmの濃度まで、比抵抗変化から検知できることがわかった。 これらのことから、地盤中の重金属や有機溶媒の濃度変化が検知できる目処が付いた。 このほか、水平浸透型土槽を用いて、トリクロロエチレン等の分散係数を求めてみた。その結果、分散係数は分子拡散係数よりかなり高いことが判明した。
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