平成14年度は、新たに設計・製作した「装置(1):水・空気・油3相系土柱法試験装置」と親水性・撥水性セラミック板を用いた「装置(2):吸引法による水・空気・油3相系試験装置」を用いて実験を行った。 装置(1)の実験では油層厚が変動した際、地下水の毛管上昇帯がどのように影響されるのかを着目点に実験を行った。昨年度までの実験では土柱カラムの最下端の水面が安定しない問題があったが、これは最下端カラムの高さを2倍にして水深を深く取ったことで解決できた。また、特別高価な分析装置を用いずともサンプル土における水・空気・油3相飽和度の割合を求める簡便な手法を確立することができた。実験結果同士を比較してみたところ、興味深い結果となったのは油層厚から推定される地下水の毛管上昇帯の変動とまったく異なる影響が現れたことであった。検討した結果、これは土柱の最下端カラムに水面・油面を設定するための空隙があるため、毛管上昇帯をはさんだ上下に空気層が分断された形で存在するためであることが判った。次年度からはこのストレーナ部分をカラム全体にわたって設置する方法にすることとした。 一方、装置(2)は、親水性・撥水性セラミック板がメンテナンスのために交換できるような形状のものを作成し、実験を行った。しかし、透気試験もにらんで作成したためこの管路部分の体積が試験結果にあいまいな値となって現れることがわかった。また、セラミックの接着・固定の際に側面を削る工程があり、撥水性が低下していることも判明した。次年度はセラミックディスクを埋め込み式に改良することとしている。また、これまでの研究成果から「不飽和透気係数」・「不飽和透水係数」・「不飽和透油係数」といった物性値の測定に、従来不飽和溶質分散の研究で用いられてきた空気吸引カラム試験法が有望になってきた。次年度はこれを「装置(3)」として用いた実験を行いたいと計画している。
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