本研究の目的は土壌の凍結融解による浄化修復技術の適用範囲を明らかにすることであり、冷却条件、土壌の種類等による水溶性汚染物質の移動量、移動方向について検討を行うことである。研究1年目は、凍上性を示す粘性土試料を対象とし、凍結融解における給水の有無、冷却速度、温度勾配、荷重の影響について検討した。その結果、一連の実験結果より、凍結融解による洗浄効果は、冷却速度が遅く、温度勾配が大きく、荷重が小さい等の凍上量が大きくなる条件で顕著な結果が得られた。 研究2年目(平成15年度)は、融解後に粘性土の透水係数が増加することに着目した通水洗浄について検討した。特に融解時の通水の有無による洗浄効果、粘性土の種類と荷重の違いによる透水係数の変化の2点に着目した実験を行った。その主な結果は次の通りである。 まず、1次元凍結融解実験の結果より、通水を行わない場合と比較して、融解開始と同時に通水を行うと、給水側から供試体の内部へと洗浄領域が広がることが示された。 次に、凍結融解後の透水係数について、凍結融解実験が行われた。凍結融解後の透水係数は、融解直後が最大となり、その後少しずつ低下するケースと一定状態を維持するケースが見られた。この一連の実験より、凍結融解による透水係数の増加は、荷重との関係では100kPaまでの範囲で確認された。また、土質によっても大きな差があり、藤森粘土では約十倍程度、関東ロームでは数百倍まで透水係数が増加した。後者の場合には、未凍結の透水係数が10^<-6>〜10^<-7>cm/sと粘性土と同等でありながら、凍結融解後には10^<-3>〜10^<-4>cm/sと砂質土の値にまで増加している。さらに、実験データより、間隙比に注目して整理してみると、同じ間隙比でも凍結融解の前後では、透水係数が異なり、凍結融解により間隙構造自体が変化していることが示された。
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