研究概要 |
1.石垣模型振動実験 発表論文11. 振動台上に固定した木製土槽上に模型石垣を構築して加振し、石垣の変状、崩壊状況などを計測した。 実験は相似則を考慮して、積石寸法を実大比1/10に設定し6.0cmx5.0cmのテーパ付積石を作成したが、重力相似10を得る工夫として、積石材質を花崗岩、鉄および鉛と変化させた。積石材質Sの他に、高さH(=30,40,50cm)、石垣勾配θ(=60,70,80°)および石積技法T(=芋積み,レンガ積み,落し積み)の4要因を取り上げ、それらを上述の3水準に変化させて、実験計画法L9に組み込んで実験した。結果は次の通りである。 (1)石垣の腹み出しに対しては、石垣角度θによる影響力が支配的であり、地震時抵抗力は石垣角度により大きく影影響される。(2)石垣下部から伝播してくる振動は上部ほど増幅され、加速度では50%程度大きくなる。これは阪神淡路地震時に、明石城の石垣天端石が数m離れた位置に投げ出されていたことを証明している。 2.FEM-3Dによる3次元動的解析 発表論文11. 石垣断面の数値解析にあたり、断面のモデル化が難しく、また連続体として扱えないので、FEMをそのまま適用できない。個別要素法はその原理から石垣解析には不適当である。そこで積石間に仮想の間詰め材を挿入する手法を考案し、本手法によりFEMを適用して石垣の常時、地震時の解析を行うことが出来ることを示した。石垣の形状寸法を標準規模のH=10.0m、θ=70°の一定とし、積石S、間詰めM、裏込Bおよび原地盤Gの4要因の物性値を3水準に変化させ、L9に組み込んで数値実験した。結果は次の通りである。 (1)入力加速度を100〜300〜500galと増大させると、腹みだし量は指数関数的に増大し、石垣の安定性は急速に失われる。(2)石垣の地震時安定には裏込Bと原地盤Gの物性値が大きく影響する。
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