研究課題/領域番号 |
14550512
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研究機関 | 神戸商船大学 |
研究代表者 |
久保 雅義 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (30031470)
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研究分担者 |
米山 治男 独立行政法人港湾空港技術研究所, 地盤・構造部・海洋構造研究室, 主任研究官
水井 真治 広島商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (50249843)
笹 健児 広島商船高等専門学校, 商船学科, 講師
永井 紀彦 独立行政法人港湾空港技術研究所, 海洋水工部・海象情報研究室, 室長
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キーワード | 外洋性港湾 / 入出港問題 / 船体動揺 / 波浪 / 台風 / 数値計算 / 現地観測 / 着離岸作業 |
研究概要 |
外洋に面した海域の港湾において荷役・係留などの船舶運用が困難であることが指摘され、波浪特性の調査検討を中心に多くの研究が実施されてきた。これにより係留中における問題点はかなり明確になったが、一方で船が港湾に入港または出港するときの波浪による安全性は定量的なデータによる検討はほとんど行われていない。今年度の研究においては、太平洋に面した日本南西部に位置する港湾に入出港する大型フェリーを対象に(1)入出港で波浪による操船困難に関する関係者へのヒアリング調査、(2)台風からのうねりが伝播してきている時期における入出港時の船体動揺の現地観測、(3)港の沖で観測されている波浪データの分析、(4)現地観測された船体動揺のデータ分析および操船困難となる状況の抽出および評価、(4)港外から港内に至る波浪伝播と着離岸時における船体動揺の数値解析モデルの開発、実測値の検証を実施した。まず現地でのヒアリングにより、大型フェリーは台風からのうねりが伝播するときで港内の岸壁に着岸および離岸する局面で大きな船体動揺(横揺)が発生し、非常に着岸・離岸が困難となる回答を得た。これを受け台風時期にフェリーの入出港時における船体動揺を数回現地観測した結果、入港、出港時でヒアリングどおりの大きな横揺が発生し、操船が非常に困難となる状況を定量的なデータを計測できた。また港外波浪データも分析した結果、非常に強いうねり成分と長周期波が卓越する状況であった。またこれらの状況を再現できる数値解析モデルの開発を行い、現場の状況をおおむね精度よく解析できることが確認された。このような現象を引き起こしている主原因は波高0.5m、周期10-15s程度のうねり成分が港外から侵入するであると推定できた。この検討結果は現在の「港内静穏度」の定義を大きく見直す必要があることを示唆している。
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