今年度は、鹿児島県志布志町押切海岸および東串良町柏原海岸において、台風来襲後に形成された浜崖の形成状況について現地調査を行った。調査は、汀線位置の計測にGPSを用いて、浜崖形成位置および浜崖高さの計測には目盛り付きスタッフを用いて計測した。また、調査地海岸は、緩傾斜護岸、一文字突堤、T字型突堤、蛇籠などの各種海岸保全構造物がある箇所を選んで調査した。 加えて、1ラインモデルを含めて5つのサブプログラムよりなる浜崖形成予測モデルを、現地調査で得られた知見をもとに作成した。そして、本計算モデルを、離岸提、突堤、養浜などの海岸保全工法に伴う浜崖の形成位置および規模の予測に関する数値予測に用いた。加えて、数値計算で予測される浜崖規模を抑制するために、テーパー型の突堤群あるいは養浜という保全工法を用いるとどのように浜崖の形成状況が変化するかを、本研究で開発したモデルにより計算した。その結果、テーパー型の突堤群構造物は浜崖形成領域延長および浜崖最大高さを抑制できる可能性があることが示された。なお、基本的に数値計算は理想的な設定条件を用いて計算されたので、今後、実海岸で実際の入力波条件を用いて浜崖の形成状況や抑制効果の検証を行う必要がある。また、質量(底質の体積)保全則に関して、若干改良しなければならない点も今後の課題である。 研究成果に関しては、平成16年7月に開催された九州地区海岸工学者の集い、平成17年3月の土木学会西部支部研究発表会で報告された。
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