研究概要 |
本年度は,主に以下の2点についての検討を行いました. 第一に,今後現地河川に堆積した粘着性土の浸食機構を解明する上で必要となる「供試体の乾燥・湿潤履歴」に注目し,これが浸食速度に及ぼす影響を明らかにするための実験的検討を行いました.その結果,供試体の含水状態ならびに浸食速度の時間的な変化について興味深い結果を得ております.次に,これまでの著者らの研究において不十分であった「浸食が進行するブロセス」に焦点を当てた実験的研究を行い,その理解を深めることができました.さらに,前年度までの研究成果を見直し,これを再構築することで,カオリンを中心とした粘着性材料に関する浸食速度式を誘導することもできました. 第二に,次年度に実施予定の「現地に堆積している粘着性土の浸食試験」に向けて,新たな浸食試験機の開発に取り組みました.試験機は,予算の関係から,当初の計画に比べて小規模のものとなりましたが,現時点でその組み立てをほぼ終えつつあり,次年度はじめから予備試験・本試験に入る準備ができました. このように,本年度に関しましては,申請時の計画に沿った形で概ね順調に研究を進めてきております.こうした研究活動とあわせて,土木学会水理委員会基礎水理部会において組織された研究分科会(世話人:関根正人)の活動の一環として,「粘着性土の浸食機構に関するシンポジウム」を早稲田大学で開催することができました.本研究助成と予算上直接関係するものではありませんが,現象の解明に向けて活発な議論を展開し,また参加者相互間の理解を深めるこどかできたと考えております.
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