本研究は、取水堰や落差工などの河道横断構造物護床工下流部の流れの遷移特性や洗掘穴の発達機構を解明し、その安全で合理的な設計法を確立することを目的として、実際河川の資料収集と調査・観測及び系統的な水理実験や数値解析の結果から、構造物周辺の流れと洗掘機構及びその環境・防災機能について詳細な検討を行うものである. 平成14年度では、岡山県百間川二の荒手堰堤の構造やその歴史的変遷、洪水による被災履歴などの資料を収集し、洪水時に生じる堰堤下流部の局所洗掘に対する構造上の問題点を明らかにするとともに、現況の河道断面や河床材料の調査を行い、洪水時の流況や河床変動量を観測する準備を行った。また、現地河道の力学的相似模型を用いた水理実験を行い、その結果から堰を越流する流れによる下流河床の洗掘特性とその支配要因を明らかにするとともに、洗掘軽減対策としての護床工の様式と合理的な施工範囲について検討した。護床工のモデルとしては、3種のイボ型粗度(6脚ブロック、半球粗度及びホロースケアブロック)と蛇籠工を用い、護床工粗面固定床から移動床への流れの遷移特性、最大洗掘深とその発生位置の時間変化などの河床の変動特性及び護床工による洗掘軽減効果に関して考察を行った。さらに、これらの実験結果を検証するために、移動一般曲線座標系を用いた流れ及び河床変動の平面二次元数値計算を行い、その適合性を評価するとともに、現地スケールの現象に対するモデル定数の同定や適切な境界条件の設定など、実河川における局所洗掘量の予測精度の向上を試みた。
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