研究概要 |
本研究は、海域に藻場を造成するための基礎的な水理学的な情報を得るために主として室内実験を行った。海草の運動形態による内部流動の相違を検討するために、実物に類似した挙動、自力で戻る、全く挙動しないの3つの種類を用いて、PTVによる画像計測を行った。統計量に耐えうる程度の画像を処理し、乱れ強度、渦度の分布が明瞭に把握できた。また、実海草(水草)を用いて地形変化の実験を行い、海草が底面地形に変化に寄与していることがわかり、また、底質の沖側への移動を押さえていることも実験的に明らかとなった。(辻本)画像による運動中の海草周辺を解析するために、比較的屈折率が低く,水溶液と屈折率を合わせることができ,整形が容易で,透明度が高く,耐薬品性,耐熱寒性に優れたシリコンゴムで多孔質媒体モデルを作成した。屈折率整合技術およびPTVを用いて,多孔質媒体中の流れ場の画像計測を行うことに成功した。(竹原)海草周辺の砂粒子挙動を把握するため、砂粒子の漂う画像からその濃度を測定するためのシステム開発を行った。その方法は、画像を数値化し、濃度のあいまいさを補正し、次にサンプルを取り出すことで砂粒子の1粒あたりの面積を求め、砂濃度を求めるものである。(中尾)一方、画像輝度の濃淡から浮遊砂濃度を推定するのでは無く,浮遊砂粒子の個数を直接,粒子マスク相関法を用いて抽出し,浮遊砂濃度を推定することを試みた.その浮遊砂濃度は従来の分布に類似しており,本手法により浮遊砂濃度を推定できることが分かった.特に海草からの距離に応じて明確な違いが見られた。(柿木)海草群落による波浪エネルギー減衰機構,あるいは,草群落中の底質砂の舞い上がり機構,浮遊砂の沈降・堆積機構の解明には,海草群落中の流体運動の正確な予測する不可欠である.そこで,水表面の運動を考慮した高次k-ε乱流モデルを用いた3次元数値波動水槽を構築した.(重松)
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