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本研究では、「知的情報処理」を利用した交通行動分析モデルを構築し、都市交通政策評価への適用性を検討した。特に交通行動者の意思決定構造を明示的に表現する精緻な交通行動分析モデルを構成し、交通行動メカニズムを基本とする都市交通政策の影響分析を可能とした。
1)「知的情報処理」に関する主要な要素技術を概念的に整理した。これらの要素技術は有機的に統合することで多様な意思決定モデルを構成できる。さらに具体的な交通行動分析モデルへの適用性を検討し、知的情報処理の利用に関する今後の方向性を整理した。
2)交通行動者の1日の交通行動を段階的に記述する「ファジィ交通行動モデル」を構築した。各判断に適切な「知的情報処理」の要素技術を適用することにより、交通行動パターンの推計精度が向上し、交通行動の意思決定を明確に表現可能なモデルが構築された。
3)知的情報処理の課題である知識獲得の例として、「機械学習」の導入方法を検討した。ここでは、「ファジィ決定木分析」(ID3、ファジィID3など)を用いて、観測された交通行動パターンから帰納的に推論知識を学習する交通行動モデルが構成された。
4)「交通行動モデル」の適用方法に関して、都市交通現象を「複雑系」として捉え、「人工社会シミュレーション」を構成する方法を提案した。これより個別の交通行動変化の相互作用から生じる都市交通の「創発現象」を観測する基本的手順が整理された。
5)都市圏域での交通政策に対する「インパクト評価手順」を示し、「交通行動モデル」を都市交通政策評価に適用した。具体的には、「混雑料金政策」を対象として、各交通行動者の交通行動変化を推定した。これにより、都市全体での交通現象変化の推定に加えて、都市交通政策導の個別交通行動パターンに与える具体的な影響評価が可能となった。
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