本年度においては、14年度の研究成果を踏まえた上で、次の通り街路整備プログラム策定手法についての研究を行った。 (1)街路のもつ様々な機能を総合評価し、都市街路網として都市の機能に寄与する働きを計量的に評価する評価関数を作成した。 (2)街路整備を行うための財政上の制約、事業実施順序等事業相互間の関連、上位計画との整合性などの分析を通して、街路整備プログラムを策定する上でのさまざまな制約条件とその計量的定式化法を明らかにした。 (3)上記の制約条件のもとで、最新のシステム分析手法である遺伝的アルゴリズム(GA)およびネットワーク交通均衡理論の適用を通して、複数の街路網整備代替案を組織的・客観的に作成するとともに、それらの優劣を比較・評価し、最適解を導出する方法を構築した。 (4)複数の街路整備代替案に対して、それらの整備効果・便益ならびに整備に要する費用について時系列的な分析を行い、これより限られた財政支出に対して最大の整備効果を得ることのできる最適案を抽出する方法を作成した。 (5)本手法を、パイロット・スタディーとして大都市周辺部の衛星都市の街路整備計画に適用し、実際的条件ならびに実際的制約条件のもとで、街路整備プログラムの時系列的最適解を求めた。この理論解と実務者によって経験的に作成された計画案の比較を通して、本手法の有用性・実用性について検討を行った。
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