研究概要 |
本研究は、産業連関表が作成されていないような小地域(都市圏)を対象とした応用一般均衡モデル及び産業連関モデルを開発し、実際に地域で行われるような政策分析を行うことを目的としている。そのため1年目にあたる平成14年度では、まず任意の小地域を対象とした精度の高い産業連関表の作成手法を検討した。地域の産業連関表を作成する上で最も大きな課題は、当該地域における移出入額を推定することであるが、本年度は移出入額推計における既往研究のサーベイと問題点の把握、及び精度の高い推定方法開発の方向性を検討した。また、ノンサーベイ型の産業連関表推定手法とサーベイ型推定方法の比較検討を行い、ノンサーベイ型推定手法の有用性について検証した。さらに、産業連関表が準備されていない小都市圏を主な対象地域とした上で,全国を上位地域が下位地域を内包する3地域に分割した3地域間産業連関モデルを構築した.特定地域において需要の増加または減少が生じたとき,その経済的な影響は当該地域のみならず,それを取り囲む中地域,大地域の3つの地域レベルにおいて分析することが求められる場合が多い.本研究で構築したモデルは,その要求に応えることが可能であり,計算の容易性から実務的に見てもその有用性は極めて高い. 都市圏産業連関表の作成手法の検討及び産業連関モデルの構築と同時並行して進めた都市圏応用一般均衡モデルの開発においては、具体的に鳥取市を対象とした都市圏産業連関表を作成し、開放経済下を想定したCGEモデルを構築した。また、その構築したモデルを用いて、都市圏の交通整備と税制政策を想定したケーススタディを行った。
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