本年度の成果は以下の通りである。 (1)評価対象となる財の特定 海面上昇による直接的・間接的・波及的な影響を受ける財について、産業(12部門)の生産財および沿岸域の環境財とした。 (2)各財の分布図の作成 生産財について、伊勢湾地域において海面上昇1m・5mによって海面下になる地域の産業別生産額の分布図を作成した。環境財ついて、分布図を作成するための環境経済評価モデルを提案した。後者の成果については、裏面に示す論文「海岸からの距離に応じて変化する沿岸環境価値の評価」にまとめた。 (3)社会経済モデルの構築 海面上昇による物理的・生態的・社会的な影響を国民経済に対する影響として統一的に評価するために、被害の二重計測や計測漏れの恐れのない一般均衡理論に基づく社会経済モデルを構築した。この成果については、裏面に示す論文「海面上昇による土地損失と波及被害の計測」にまとめた。 (4)市場財の経済評価 市場財の価値は各産業の生産額によって評価した。 (5)非市場財の経済評価 (2)で検討した環境経済評価モデルに基づいてアンケート票を作成し、インターネット調査を実施した。その結果、伊勢湾地域に住む成人男女553人(愛知県331人、岐阜県111人、三重県111人)より回答を得た。このデータ解析は来年度に行なう。
|