研究課題/領域番号 |
14550539
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
佐藤 邦明 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 教授 (10008881)
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研究分担者 |
高野 保英 近畿大学, 理工学部・土木工学科, 助手 (80330231)
和田 明 日本大学, 生産工学部・土木工学科, 教授 (00210972)
浅枝 隆 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40134332)
佐々木 孝 (株)アーク情報システム, 数理解析部, 担当部長
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キーワード | 土壌汚染 / 揮発性有機塩素系化合物(VOC) / 多孔媒体 / SALSAモデル / 大気・土壌連成 |
研究概要 |
1.研究の目的:近年、トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素系化合物(VOC)の発ガン性が大きな社会的問題となっている。地下水中に漏洩した溶質や拡散物質の挙動は、多孔媒体中の移行として扱うが、いわゆる通気帯(不飽和帯)における揮発性ガスの移行拡散と(飽和)地下水中の分散を同時に考える必要がある。本研究では、大気・土壊連成システム(SALSAモデル)と高野らの研究をベースとして、土壌・地下水中の汚染物質の挙動を解析するシステムの構築とその実用化を目的としており、(1)大気・土壌中の熱、水分と汚染物質のカップリングモデルの構築、(2)地表面におけるガス化した汚染物質の境界条件のモデル化、(3)大気・土壌と地下水との連成、(4)モデルで用いられる主要なパラメータの整備と感度分析、現地適用性検討の4つのフェーズで展開する。 2.本度の成果と来年度の計画:佐藤、浅枝、高野、佐々木らは、土壌・大気連成数学モデルをもとに、土壊中のVOC移行を数値解析により求め、気体状、液体上のVOCの地中への移行が、日中の土壌水分、熱特性に大きく依存すること、降雨の浸透が下方への移行を促進させること、さらに気体上のVOCの鉛直下方への拡散が相当に大きいことなどの解析結果を得た。これらの結果は、汚染地域での適切な浄化法の把握や方針策定を行うための、大気・土壌・地下水連成モデルの構築の上で有効である。高野らは、土壌中の熱・水分・汚染物質のカップリングを検討するとともに、土壊・大気連成モデルのパラメータチューニングに必要となる、植生と土壌からの蒸発散量を現地観測により算定した。和田は、土壌・大気連成モデルによる上記の知見をもとに、エネルギー問題において廃棄物の処理技術開発の展望を述べるにあたり、特に放射性廃棄物の地中処理は地層中の水の動きなど地水圏工学の重要性を指摘した。来年度は上記(3)と(4)を中心に研究を行う予定である。
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