研究概要 |
森林被覆密度を求めるアルゴリズムとして,研究代表者力丸厚が研究実績として開発したFCD-Modelが1997年より,ITTO(国際熱帯木材機関)の標準手法として世界各地で利用されている。しかしながら,以下の技術的な問題点がある。 ・地形の斜面の影響により被覆密度の推定計測値に誤差が生じる。 ・樹種や群落の特性により被覆密度の推定計測値に誤差が生じる。 ・季節差の要因により被覆密度の推定計測値に誤差が生じる。 これらの問題を克服する研究を平成14年度からの研究課題として取組んだ。 本年度は,特に地形の影響低減のアルゴリズム開発を,東京西部の奥多摩地区をテストサイトに選びの起伏の多い森林地帯を対象に研究を実施した。 影補正のアルゴリズムとしては,地形データを用いて影部の反射の幾何学的特性を解く方法と,衛星データの分光反射スペクトルのみから,補正する方法の2種類が考えられる。全者はすでに,研究事例があるが,この手法では,事前に数値地形データを入手しておく必要がある。本研究は,対象が熱帯林が分布する地域を想定しているため,数値地図情報等が整備されていなくても補正の可能性がある分光反射スペクトルのみ方法の開発に着手した。補正手法は,以下の3つの解析処理から構成されている。 第1段階 地形影の領域を認識する解析手法 第2段階 影領域が日向であったときの反射特性の推定手法 第3段階 影領域を日向相当の反射特性に復元する手法 平成14年度研究では上記3段階の補正手法の開発をおこない,11月に撮影されたデータで,補正実験をおこない、影の少ない6月の衛星データで,その補正精度を検証した。谷が深く非常に暗い領域は復元不能であったが,大半の領域で,補正効果が確認された。
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