流動が藻類の増殖を抑制するメカニズムと流水による水質浄化に関して検討を行い、以下のような結論が得られた。 流速0〜30cm/sの範囲内で円形水槽を用いて実験を行い、流速があると藻類増殖が抑制されるという結果を得た。ただし、実験で明らかになった流れの増殖抑制効果は、それほど大きいものではなかった。 次いで、流速を10cm/sに設定し、水槽の底部に粒径の異なる砂礫を敷き詰めてその上を流すと、浮遊している水中のクロロフィル-aは2日程度で砂礫に捕捉されたが、砂礫に捕捉された藻類をさらに除去する機構が働かないと、再度藻類濃度は増加する結果となった。 透過光量子量に対する水深、水質の影響は大きく、50cm程度の水深における光量子量は、水面における値から数割も減少する。なお、透過光量子量に対する水面波の影響は小さく、ほとんど無視しうる程度であった。 さらに、1.2〜7.6秒の変動周期の光量子のもとで藻類培養を行うと、変動周期が長いほど藻類増殖が抑制されるという結果が得られた。 本研究により、流動が藻類増殖を抑制するメカニズムの一つが鉛直混合にともなう利用可能光量の減少にあることが明らかになった。得られた結果の範囲内で藻類の増殖を抑制する方法を提示すれば、鉛直混合が生じる程度の流動が必要で、水深も50cm程度は必要である。河床が砂礫等であれば藻類が補足されるが、補足された藻類を除去する仕組みがないと効果は持続しない。
|