研究概要 |
Gordonia(Nocardia) amarae SC1株(スカムより単離)のミコール酸から作製した抗ミコール酸ポリクローナル抗体を用いて、スカムからのミコール酸含有菌の免疫磁気ビーズ法による最適化を先ず検討した。その結果、0.2%のTween20含有PBSによる1時間の処理が菌体の分散に効果的であり、抗ミコール酸ポリクローナル抗体は50倍程度の希釈倍率で添加すればよいことが明らかとなった。この条件でG. amare SC1株の添加回収実験を行ったところ、菌体のビーズへの結合を観察するとともに、初発菌体濃度が10^3〜10^7CFU/ml、磁気ビーズが6〜7×10^6beads/mlの添加で、83%以上の菌体が回収可能であり、菌体濃度が低いほど、回収率は高かった。他のミコール酸含有菌に適用したところ、G. amarae IFO15530^TとRhodoccus rhodochrous ATCC13808^Tが同一の初発菌体濃度でそれぞれ69%以上と9〜15%、Tsukamurella paurometabola IFO12160^Tが10^3〜10^7CFU/mlで68%、10^6〜10^7CFU/mlで32%であり、免疫磁気ビーズ法の適用可能性が示唆された。次に、形態学的に(G. amaraeと判断された菌株(SC1株)の16SrDNA解析による同定を試みた。DNAの抽出と精製を検討したところ、Chelex法とエタノール沈殿の併用が効果的で、5,000bpの分子量マーカー前後にバンドが得られ、長鎖のゲノムDNAが回収されていることが明らかとなった。この抽出DNAをテンプレートとして、16S rDNA領域のPCR増幅を行ったところ、約1,500bpのDNA断片が得られた。このDNA断片をテンプレートとしてサイクルシーケンス反応を行い、1,412bpの塩基配列が決定されたので、BLASTによる相同性検索および系統樹を作成し、SC1株は分子系統学的にもG. amaraeと同定された。 以上のことから、スカムからの検出・分離・同定にかかわる基本的な操作条件を特定できたと考えられる。
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