研究概要 |
ハイブリダイゼーション法によるスカム原因菌の定量とそのPCR-DGGE法による菌叢解析に関する基礎的な操作条件の特定を検討した。その結果、種々の菌株からのRNA抽出法として、スカム原因菌と報告されてきたミコール酸含有細菌(16株)では45分、ミコール酸非含有細菌(5株)では30分の超音波処理(20W、20KHz)で効率的な菌体破砕が確認でき、またスピンカラム法による全RNA抽出で、すべての菌株より16S rRNAのサイズと一致する約1,500bpのRNA断片を得ることができた。次に、5種のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、種々の菌株のRNAとハイブリダイゼーション試験を行ったところ、21菌株のRNAに対して選択的にハイブリダイズすることが確認され、スカムや活性汚泥中のミコール酸含有細菌(スカムより分離したGordonia amarae SC1株を含む)の検出・定量に適用できることが示唆された。さらに、昨年度に特定したDNA抽出法(キレックス法とエタノール沈殿法の併用)を用いて、スカム原因菌並びにスカム試料からのPCR-DGGE操作条件を検討した。その結果、抽出したDNAを鋳型として、設定したプライマー対(PRBA341FGC/PRUN517とPRBA341F/PRUN517)によるPCRでは、最初の熱処理;95℃で12分、(熱変性;94℃、アニーリング;53℃、伸長反応;72℃を各1分)を35回、最終伸長反応;72℃で7分、保存4℃で、目的とする増幅断片を得ることができた。また、スカム試料からのPCR増幅断片を変性剤濃度勾配30〜60%でDGGE分析したところ、G.amarae SC1株と同じ移動度を持つものを含め、十数本のバンドに分離することができ、バンド間の距離も十分に大きいため、解析可能であることがわかった。 以上のハイブリダイゼーション法によるスカム原因菌の定量とそのPCR-DGGE法による菌叢解析に関する基礎的な操作条件を特定できた。
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