研究概要 |
膜の目詰まり過程に関し,室内実験の結果を基に,エキスパートシステムを構築することを目的に、膜間差圧,菌体外ポリマー濃度、汚泥の性状(MLSS,粘性係数)等の指標の経日変化を追跡し,負荷変動やばっきサイクルなどの条件の変化に対応できる膜目詰まりモデルの構築を目指している。膜分離活性汚泥法では、ばっ気による膜面の洗浄効果により、長期間安定して運転可能となるが、本年度は、ばっ気による膜面の洗浄効果の効率化に焦点を当て、気泡流を発生させた際,膜壁面近傍に沿って働くせん断応力の影響を,定量的に評価する事を目的とし、浸漬型の平膜および中空糸膜モジュールを想定した実験を行った。 気泡流によって,壁面近傍に発生するせん断応力は,流入空気量の増加に伴って,増加傾向を示した。また、MLSS(活性汚泥浮遊物質)濃度が増加すると,壁面近傍に作用するせん断応力が,増加傾向を示した。水の粘性をメチルセルロースで4(mPa sec),8(mPa sec)に上げた場合と,粘性状態が近いMLSS9065(mg/l),粘性6.6(mPa sec)の活性汚泥での測定結果は,活性汚泥で測定した値の方が大きかった.このことから壁面に作用するせん断応力は,粘性より活性汚泥中に存在する浮遊物質(MLSS)による影響が大きいと考えられた。 中空糸膜は縦置きにした場合、水深方向に作用する応力は,中空糸膜の外径によらなかった。また、気泡流によって,中空糸膜壁面近傍に発生する応力は,空気量の増加に伴い増加傾向を示し、中空糸膜を3本束ねている方が,単独で1本存在するものよりも,作用する応力が小さくなった。さらに、水深方向と水平方向にかかる応力は,約4倍水深方向にかかる応力が大きな値を示すことがわかった。
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