研究概要 |
昨年度実施したPETボトルリサイクルシステムの環境負荷・コストの定量及び消費者の意識調査結果をもとに,PETボトルのクローズドシステムを前提とした,今後のPETボトルリサイクルに関して検討を行った.具体的には,「リサイクルPETボトル」(ボトルtoボトル),「リユースPETボトル」,「バージン材PETボトル」(リサイクルなし)のケースの環境負荷とコストを比較し,市民意識も加えた総合評価を行った. (1)環境負荷評価 1)リサイクルを行わない場合よりもリサイクルやリユースを行う場合の方がCO_2排出量は小さく,リユースPETボトルのCO_2排出量が最も少ない. 2)PETボトルの回収率が高ければ(100%),リサイクル,リユースにより,現状よりもCO2_排出量は30〜40%削減可能である. (2)コスト評価 1)各PETボトルのコストは,回収率が高ければ(100%),リサイクルPETボトルのコストが最も安い. 2)リサイクル,リユースは,回収率が高ければ(100%)バージン材PETボトルのコストよりもそれぞれ15%,12%削減可能であるが,回収率が低い場合,リサイクル(回収率10%以下),リユース(同40%以下)すると現状よりも高コストとなる. (3)総合評価 1)各PETボトルの総合評価を行った結果,リサイクル,リユースの回収率が50%以下の場合,現在のバージン材PETボトルが最も評価が高く,50%より大きくなれば,リサイクルPETボトルの評価が最も高い. 2)リユースPETボトルは,回収率の向上とともに,リユースPETボトルの衛生面・安全面が担保された上での,市民の受け入れ度の向上が必要である. リサイクル,リユースを行う場合にもPETボトルの回収率が低くなると,バージン材を使用する量が増加し,環境負荷,コストの増大に繋がるため,回収率の向上が必要である.
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