研究概要 |
本研究は,ドーム形状のみでなく任意曲面を有する単層ラチスシェルの保有耐力の関わる資料を更に蓄積することを目的として計画された。平成15年度の研究実績の概要を以下に示す。 平成14年度においてベジエ曲面により記述される単層ラチスシェルを対象として,線形座屈荷重およびコンプライアンスを目的関数とした形状最適化を行った。今年度は,線形座屈荷重最大化および部材長一様化を目的とし,単層ラチスシェルの形状最適化を行った。その結果,最適化を数段階に分け,部材をグルーピングしながら部材長さを一様化することによって,線形座屈荷重を考慮しながらも,部材種類の少ない形状を得ることができた。また,最適形状は軸力抵抗型の構造となるものの,初期形状と最適形状の形状初期不整に対する敏感度には,ほとんど違いは認められなかった。以上の最適形状では,ベジエ曲面を用いることによりスムーズな形状を得ることができた。 また,ドーム形状の単層ラチスシェルを対象として,地震応答性状または動的座屈性状の検討を行った。地震応答性状の分析においては,解析方法として応答スペクトル解析の完全二次結合(CQC)を用い,水平地震動を受ける場合の応答加速度評価を行い,水平応答加速度はドーム半開角の増加に伴い大きくなるという結論を得た。ここでの応答加速度評価より,ドームの静的地震力作成の可能性を見い出した。動的座屈性状の検討においては,入力波形としてステップ波を採用し,幾何学的非線形を考慮した時刻歴弾塑性応答解析により,ドームの半開角またはステップ波の入力方向の違いが動的座屈性状に与える影響について分析した。さらに,動的座屈発生に関与する入力またはひずみエネルギー量および動的座屈荷重の評価を行い,ひずみエネルギー量は,入力方向に関わらずドーム半開角毎にほぼ同程度の値となるという結論を得た。
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