研究分担者 |
塩原 等 東京大学, 工学研究科, 助教授 (50272365)
諸岡 繁洋 京都大学, 工学研究科, 講師 (80273522)
田中 仁史 京都大学, 防災研究所, 教授 (20132623)
倉本 洋 豊橋技術科学大学, 工学教育国際協力研究センター, 助教授 (20234544)
角 徹三 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40026092)
|
研究概要 |
RC造連層耐震壁と杭基礎との地震時相互作用を考慮した水平せん断力抵抗機構を解明するため,耐震壁の下層部・基礎梁・杭・1Fスラブをモデル化した試験体を約15%〜20%寸法で4体作製し,静的正負交番繰返し載荷を行った。用意した試験体は,壁脚と基礎梁の降伏を変えたもの,耐震壁を一体打ち型とプレキャスト型としたもので区別をした。荷重段階が進行するに従って変化する,壁脚から基礎梁への水平せん断力伝達機構の解明に特に注意を払った。本研究の成果を以下にまとめる。 ・基礎梁に作用する外力分布を,壁脚浮き上がりの程度に応じてモデル化したことである。簡単な断面解析を用いてこの外力分布に基づく基礎梁の軸力とモーメントから基礎梁主筋の歪を算定したところ,比較的実験結果と適合しており,外力分布モデルの妥当性が検証できた。このモデルでは,基礎梁に入力する力が壁脚の浮上り程度に大きく影響を受ける。設計においても,耐震壁の変形をどこまでに抑えるかにより,基礎梁の荷重条件が大きく変化するので注意が必要である。 ・耐震壁が浮上ったあとの基礎梁のせん断ひび割れは,予想以上に基礎梁に分布していた。この実験結果と,上記の外力分布モデルから考察すると,基礎梁の設計は杭の曲げ戻しと水平せん断力の半分を軸力として同時に作用させなければ安全性が確保できないこととなる。これは,過剰に安全側の評価を与えると考えられてきた都市基盤整備公団の仕様をさらに厳しくしなければならない結果である。ただし,耐震壁の完全な浮上りを許容するまでの変形を設計で許容するかに関しては,議論の余地が残っている。 ・スラブ筋に貼付した歪ゲージから判断すると,スラブは基礎梁をT型梁と仮定した場合のフランジとして,全幅が有効に働いていた。そこで,曲げに関しては,スラブの寄与分を算入しても良いと考えられる。
|