| 研究概要 |
本研究の目的は,在来構法木造住宅や社寺建築に代表される伝統構法木造などの木造軸組系建物が,強地震時にいかなる挙動過程を経て倒壊に至るかを予測できる高精度の解析法を開発し,提供することである。提案する解析法は,木造接合部に実大実験から得られた弾塑性ばねモデルを採用する解析法であるが,高精度弾塑性解析を可能とする増分摂動法と大変位を扱える移動座標系を採用しており,上記の目的を十分に満たすものである。なお,実大実験によって得られた接合部履歴挙動曲線から,解析プログラムに用いる弾塑性ばねモデルの履歴則を作成する手法についても提案している。
本年度の研究成果を要約すると以下のようになる:
1.実大繰り返し曲げ実験の接合部履歴挙動曲線を基にした履歴特性モデルの作成法を提案し,その部材端ばねモデルを有する立体木造軸組解析法の定式化を、増分摂動法の手法を用いて行った。
2.上記定式化に基づき,静的解析用数値プログラムを作成した。
3.立体木造軸組の地震時挙動が予測できるよう上記解析法の動的問題への展開を行い,動的解析用数値プログラムの作成に着手した。
4.本研究で得ちれた接合部ばね特性以外の接合部ばね履歴特性に関して,既往の研究サーヴェイを行い,いくつかの典型的部位に関して当面採用できる履歴モデルについて検討を行った。
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