大空間トラス構造実現のためのFRP構造部材の開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550575
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 逢坂 勝彦 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10167299)
• キーワード: トラス構造 / FRP / 引抜成形法 / 接着接合 / 光ファイバ / 金属部分 / ひずみモニタリング / FW成形法

研究概要

本研究では、引抜FRP (Fiber Reinforced Plastics)材の両端に金属製接合部品を接着し、光ファイバセンサによる接合部のひずみモニタリングを可能とした大空間トラス構造実現のための構造部材を開発することを目的としている。本年度検討した内容およびその成果を以下に述べる。
・トラス構造部材にはその強度特性から、引抜成形により製造される引抜FRPを用いる計画である。まず、引抜FRP円筒について、その金属材料との接着接合技術を確立する前に、ガラス繊維を強化材とする引抜GFRP平板についてアルミニウム合金平板との接着接合法について調べた。アルミニウム合金と引抜GFRP平板をエポキシ接着剤で接合した接着継手について、引張試験を行い、強度特性を調べた。そして、有限要素法による応力解析を行って、破壊基準を検討した。検討の結果得られた破壊基準を使用して、接着継手の予測を行ったところ、予測値と測定結果に比較的よい一致が得られ、本予測法の有効性を示すことができた。
・トラス構造部材用FRP円筒の成形法としては、引抜成形法と並んで、FW (Filament Winding)法も成形法として有効であると考えられる。そこで、トラス構造用部材として、FW円筒についても検討することにした。FW成形GFRP円筒について、成形過程で光ファイバを埋め込む方法を検討した。実験には、ひずみ測定が可能な干渉型のFBG (fiber Bragg grating)光ファイバセンサを使用し、FBGセンサ埋め込み後、マトリックス樹脂の硬化過程における内部ひずみおよび硬化後の引張負荷に対するひずみや内部損傷の検出について調べた。その結果、本研究において考案した方法により成形時に埋め込んだFBGセンサがセンシング機能を低下させることなく、内部ひずみおよび損傷を検出できることがあきらかになった。

研究成果

• [文献書誌] 藤並明徳, 逢坂勝彦, 福田武人, 今中誠: "ゴム変性エポキシ接着剤により接合された突合せ接着継手の損傷挙動"材料. 52巻1号. 75-81 (2003)
• [文献書誌] T.Kosaka, K.Osaka, M.Sando, T.Fukuda: "Cure and Health Monitoring of FW GFRP Pipes by Using FBG Fiber Optic Sensors"Proc. 4th Canada Japan Workshop on Composites. 481-488 (2002)
• [文献書誌] T.Kosaka, Hideki K., K.Osaka, T.Fukuda: "Health Monitoring of Braided GFRP by Using FBG Fiber Optic Sensors"Proc. 3rd Japan-Korea Joint Symposium on Composite Materials. 107-108 (2002)
• [文献書誌] T.Kosaka, K.Osaka, T.Fukuda: "Cure and Health Monitoring of FRP by Using Embedded Fiber Optic Sensors"The Third Japan-Canada Joint Conference on New Application of Advanced Composites (JCJC-III). 63-72 (2002)
• [文献書誌] T.Kosaka, K.Osaka, A.Bando, T.Fukuda: "Cure Monitoring of FRP Laminates by Using FBG Fiber Optic Strain and Temperature Sensors during Autoclave Molding"Proc. JSME/ASME International Conference on Materials and Processing 2002. Vol.1. 378-384 (2002)
• [文献書誌] 逢坂勝彦, 山口壮太, 藤並明徳, 福田武人: "Al-GFRP接着継手の破壊挙動"溶接構造シンポジウム2002. 565-568 (2002)