研究概要 |
1.プレキャスト鉄筋コンクリート構造(PCa)の接合部をモデル化した要素試験体を製作し,実験を行った。実験の目的は,接合部に存在する異なる複数のせん断抵抗要素,特に圧縮軸力下の摩擦抵抗要素を含めた場合の複合効果を把握することである。 2.試験体は225×800mmの接合面を有し,せん断抵抗要素は接合筋,コンクリートシヤキーおよび接合面の摩擦抵抗とした。接合筋はD22を2本,シヤキーは深さ30mmで長さ240mmの支圧破壊型とした。実験は建研式加力装置を用い,接合面に生じる圧縮力および引張力を一定に保持した状態で接合面にせん断力を加え,各せん断抵抗要素および複数のせん断抵抗要素が組合わされた場合のせん断力とズレ変形の復元力特性を実験データとして得た。 3.実験結果より以下の知見を得た。 (1)プレキャストRC部材接合面におけるせん断抵抗要素として,接合筋のダボ抵抗,シヤキーの直接せん断抵抗,圧縮軸力下の摩擦抵抗および接合面の状態による固着抵抗と定義し,固着抵抗を除く個々の抵抗要素の負担力を定量的に把握した。 (2)異なる構成則を持つせん断抵抗要素の累加方法は,接合面に軸力が生じる場合にも,個々の構成則の変形適合を考慮した累加方法により評価できることを確認した。 (3)接合部でのズレ変形量の許容値を2mmに定義し,ズレ変形量を許容値に抑える耐力評価式を提案した。
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