研究概要 |
制振補強部材を簡易に外付け補強する際に,梁端部に制振ブレースを取り付ける構法の確立のために,まず取付部の破壊モードを検討する実験を行った。試験体はねじれ破壊を想定した2体,グラウトの破壊を想定した3体,PC圧着ではなく後施工アンカーにより取り付けた1体の計6体を作成し加力実験を行った。その結果の破壊モードとして以下の大きく2種類が確認された。 (1)PC梁端部のねじれ破壊 (2)取付定着台底面のグラウトのせん断破壊 (1)に関して,ブレースの荷重の分力によりねじれモーメントのみでなく梁端部の軸力が生じることが,端部ねじれ破壊性状に大きな影響を与えていることが確認された。また梁端部の鉄筋に貼付した歪みゲージによる計測データから梁の軸方向力の影響で面外曲げモーメントが生じていることが分かり,設計時に考慮すべきであることが分かった。(2)に関しては,定着台裏面にコッターを取り付けて圧着時の摩擦係数を上昇させた。破壊過程はまず初めに定着台の浮き上がりが生じ,さらに荷重を増加していくにしたがい,正載荷時はねじれによるRC躯体のひび割れが進行した。負載荷時はグラウトと定着台の境界部でのすべりによるグラウトのひび割れが生じ,最終的にはグラウトと定着板との間のせん断破壊またはグラウトの圧壊によって最大荷重に達した。また定着台裏面のコッター形状が正方のものと台形のものでグラウトの破壊性状に違いが見られ,台形状のものは比較的靭性に富んでいることが分かり,このような構法のために有効なコッター形状を提案した。 以上のことから,RC梁端部にPC鋼棒圧着により制振ブレースを取り付ける構法の基礎的資料を得ることができたため,この知見を下にRCフレームに取り付けることが可能となった.
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