既往の研究では解明されていなかった中空積層ゴム支承の座屈荷重に対して、初めて実験的なデータを示し、かつ、解析的な考察を加えた。 (1)中空断面積層ゴムの中空断面の影響により、せん断剛性が低下する。この事実は、円形断面の積層ゴム支承についても成立するはずであるが、既往の研究では指摘されることが無かった。 (2)ゴム材料のせん断弾性係数Gを、捩り自由振動実験により高精度で求める実験手法を示した。鉛直剛性実験から求めたGの値と捩り自由振動実験から求めたGの値は、良く一致することを確認した。 (3)中空積層ゴム支承の座屈荷重は、水平変形量の増大によって影響を受けない。この点は、中空積層ゴム支承の座屈安定性の高さを示すものであり、積層ゴム支承の水平変形能力を大幅に改善できる可能性が実験的に示された。 (4)既往研究では、積層鋼板の厚みが座屈荷重に与える影響が考慮されてこなかったが、本実験研究の結果、積層鋼板の厚みは、座屈荷重に重大な影響を与えていることが判明した。この結果は、現在一般に流通している免震構造用積層ゴム支承の規格を見直す必要性を示唆しており影響が大きい。
|