本年度は、研究計画に基づいて下記の研究を行った。 1)平鋼を挿入した膨張コンクリート充填鋼管材の膨張特性に関する研究 本年度は、円形鋼管に厚さ9mm、12mm、16mm、19mmの4種類の平鋼を挿入して、水結合材比25%及び30%で、膨張材置換率60%の膨張コンクリートを充填した鋼管材を作成して、本鋼管材の膨張特性を把握するとともに、過去に行った実験も含めて考察を行い、平鋼を挿入した場合の本鋼管材の膨張特性を明らかにするとともに、拘束鋼管降伏時におけるコンクリート膨張圧予測式の提示を行った。 2)平鋼を挿入した膨張コンクリート充填鋼管材の引張・圧縮繰り返し加力実験 本年度は、平鋼とコンクリートとの界面での付着影響のない本鋼管材材軸中央部付近の鋼管とコンクリートの引張・圧縮時の繰り返し特性を明らかにするために、水結合材比25%で膨張材置換率60%のコンクリートを用いて試験体を作成し、引張・圧縮の繰り返し加力実験を実施した。その結果、本鋼管材は、繰り返し荷重を受けても高引張力時や高圧縮力時に極めて高い性能を有することを実証した。しかしながら、400kN引張加力時に鋼管内部コンクリートに亀裂破壊を生じたので、今後、低添加膨張材の使用などによって、内部コンクリートの力学特性の改善を図る余地がある。また、本実験結果を詳細に検討して、拘束鋼管や内部コンクリートの繰り返し時の力学モデルを構築していく必要がある。
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