研究概要 |
自然エネルギーと燃料電池を活用した住宅用複合型エネルギーシステムのあり方について検討することを目的とした実証実験と解析を行い,以下の知見が得られた. (1)燃料電池排熱をヒートポンプと組み合せ,排熱の暖房利用可能なシステムとして構築した事により,効率的な24時間連続運転が可能となった.従来方式と比較した一次エネルギー削減率は約23%となった.暖房・融雪のシステムでもほぼ同様の良好な結果となっており,給湯負荷が少ない状況であっても、寒冷地特有の熱負荷である暖房・融雪への適用は一次エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減に寄与する. (2)燃料電池最適容量解析プログラムを作成し,運転特性と導入効果に関する評価を行った.札幌において逆潮を認めない場合の最適容量は0.9kW,逆潮を認めた場合には3.0kWとなった.仙台,東京における逆潮許容時の,最適容量は,それぞれ3.9kW,3.2kWとなった. (3)安定的分散型エネルギーシステムの構築を目指すことを目的として,燃料電池のエネルギーネットワークシステム,集住型設備共有システムにの数値シミュレーションを行い,逆潮による系統依存がネットワーク,設備共有でそれぞれ83%,40%削減されることがわかった.また,ネットワーク規模は数世帯から20世帯程度が望ましいことを示した. (4)水素貯蔵を導入した場合の自立型ローエネルギーハウスの可能性について検討した結果,必要となる水素吸蔵合金容量は約30kgであり,経済性の観点からも貯蔵媒体としての導入可能性は高いことを明らかにした.従来方式に対する一次エネルギー削減率は67%に達することを示した.
|