今回の補助金により導入した非接触型3次元デジタイザを使用して健康な青年男子の人体形状の測定を行い、人体モデルを作成した。これらのモデルを用いて、シミュレーションにより人体形状の相違による形態係数の相違について調べた。その結果、人体と壁面の距離が1mの場合はモデルにより8〜14%程度の差があり、人体と壁面の距離が7mの場合はモデルにより4〜6%程度の差であった。また、人体表面上における形態係数計算プログラムの開発を行い、人体表面上における部屋各壁面の形態係数分布を3次元で可視化表示をすることができた。複数人数が在室している場合の計算を行った結果、椅座位の場合、被験者における他人の形態係数は、1人/m2のときで0.23、1.96人/m2で0.43となる結果を得た。実物大の実験ユニットを作成し、マネキンを用いて壁面などから受ける放射熱の測定を行った。電気カーペットにより壁面を熱しマネキンの表面温度を熱電対とサーモグラフィで計測した。シミュレーションでマネキン表面上における壁面の形態係数分布を求めたが、この形態係数分布と実験によるマネキン表面上に温度分布は分布の様子はよく一致していた。形態係数分布が人体における受熱放射熱強度を表していることが確認でき、シミュレーションのみで十分に対応できることがわかった。実験ユニット内にコンクリート製の床暖房システムを設置し実験を行った。同時に3次元人体モデルを用いて床面を暖めた場合のシミュレーションを行い、人体表面において対流が発生していることが確認された。
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