現在、CGは、建築業界において基本設計段階よりCG静止画、CG動画などにより、建築完成後の空間イメージを容易に想像できるようになってきている。本研究は3DCGを用いて、現実空間と仮想空問における空間評価を行い、仮想空間における人間の空間認知特性を捉えることを目的としている。 実験内容としては以下の3つである。 1)模型空間と仮想空間との空間評価 2)仮想空間(CG静止画)の表示方法の違いによる空間評価 3)仮想空間(CG動画)と現実空間との空間評価 ※評価項目としては容積知覚、印象評価、仮想現実感で行なう。 ・容積知覚の結果は、全ての表示方法の容積、面積、奥行、横幅、高さの全ての項目で過大評価している。ヴィジョンドーム(VD)、'プロジェクター、CRTモニターの比較においては、ほぼ近似した値を示している。 ・仮想現実感の結果は、全ての表示方法、項目において過大評価されており、どの方法においても一定の現実感が得られている。VDが現実感、臨場感、没入感、存在感の4項目とも評価値が高く、他の表示方法に比べて、より現実感が高いといえる。VDにおいて臨場感、没入盛が特に評価値が高く、ドーム型であることで、空間としての現実感が高いと思われる。模型写真、CG静止画は評価が低い傾向にある。 ・印象評価の結果は、模型写真の開放感以外、全ての表示方法、項目でプラスの評価をしている。現実感の結果同様、模型写真は模型精度が影響していると考えられる。模型写真以外の表示方法では印象評価に大きな差異はみられなかった。 ・その他の主なる結果として色相、明度、彩度ともに膨張色の色彩効果があり、CGにおいても空間の膨張・収縮が認められることが確認された。静止画と動画の比較において、等しい印象評価を得ることができ、CG動画においても容積知覚は認められた。また、CGでは静止画、実画では動画の方が現実感の高い傾向が認められた。
|