研究課題/領域番号 |
14550604
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
及川 清昭 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (00168840)
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研究分担者 |
槻橋 修 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (50322037)
藤井 明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20126155)
大野 秀敏 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10160582)
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キーワード | 隙間 / dilation / erosion / 画像処理 / closing / 建物配置 / 密度 / モルフォロジー |
研究概要 |
日本の都市空間における特徴のひとつに、建物間の狭小な隙間があげられる。隙間は単なる残余空間ではなく、日照や通風の調節、延焼防止、プライバシーの確保などの機能をもっている。また、倉庫や庭などとして活用する例も見受けられ、隙間の有効利用を図るためのアイデアも数多く提案されている。しかし、隙間に対する関心の高さに比して、量的な現状把握と歴史的・文化的な考察は未だ不十分であるといえる。そこで、本研究ではまず、建物間の隙間を定量的に把握するための計量モデルを提示し、実際の隙間を計量するとともに、その量的な分布形態について考察する。 本研究では、建物配置図において半径rの円が掃過できない領域を隙間として定義し、建物配置図を画像化した後、画像処理技法における図形の収縮(erosion)と拡大(dilation)という操作を援用する。すなわち、半径rの円に対応するディジタル図形(構造要素)によって画像化された建物平面を拡大した後、収縮するという方法を適用する。これはモルフォロジーにおけるclosingという操作に相当し、画像処理の結果、隙間に相当する部分が抽出可能となる。円の直径が隙間の幅に相当する。 本年度は分析対象地域を東京都23区に設定し、隙間の広域的な分布を把握するとともに、隙間の面積と建物・人口・緑地の密度との関係を分析した。建物配置図の画像化に際しては1画素を50cmとした。計量の結果、隙間の面積の割合と建物の密度(棟数密度・周長率・建蔽率)や人口密度との間には正の相関が、緑被率とは負の相関がみられた。また、隙間の割合が大きい地域は、山手線沿線外部に沿って連担する木造密集地域とほぼ重なり、この地域は人口密度も高く、緑被率が低い地域であることが明示された。さらに、幅2。5m以内の隙間の面積は東京都23区の総面積の約1。4%にあたり、隙間が都市空間において無視できない量を占めていることが明らかになった。
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