本研究は、ケアハウスの(1)住宅機能、(2)福祉機能の各々の実態と、(3)現実の入居者の変化する要介護程度を踏まえた生活実態を明らかにすること、そして、(1)(2)と(3)の対応関係について検討することを目的としている。 本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、まず(1)と(3)については、「一人部屋」でも26.5m^2と従来のものより1割以上規模が大きく、居室部分が建具を利用することによって二部屋としても使える構造を有するCケアハウスにおいて入居者調査を実施した。その結果、昨年度明らかになった「独立した寝室確保」の要求が、過半数で実現されていることがわかった。しかし、2居室が確保できるとはいえ、一方は通路になる上、窓に面しているわけでもないため、そこまでして独立寝室を確保する要因をさらに明らかにする必要があろう。(2)の介護・福祉機能については、本年度は、熊本、福岡、岡山等に所在する、ケアハウスを中心とする幾つかの高齢者向け住宅・居住施設の見学・調査を行った。今日の介護保険制度下では、どこに住んでいても「在宅サービス」は利用できるし、ケアハウス入居者では、施設側が申請をして許可が得られれば「特定施設入所者生活介護」を利用できる。さらには、グループホーム等の制度もある。すなわち、ケアハウス等各種の高齢者向け住宅・居住施設は、従来の住宅機能と福祉機能が狭い1対1対応のシステムではなくなったはずであるが、見学して詳しく話を聞くと、まだ、十分とは言えない実態がある。また、(2)と(3)の対応関係については、昨年から継続して、Bケアハウスの退去者の実態から明らかにした。
|