本研究では、住宅機能と福祉機能の双方についてある程度以上に整備されているA、Bケアハウスにおいて、入居者調査を行うことによって、今後の高齢者向け住宅・居住施設の在り方について有効な知見を得ることを目的とした。主たる知見は以下の通りである。 1.Aケアハウスでは、現在の住まい(ケアハウス)に「愛着がある」と答えた人は、「愛着がない」という人に比べると、居室内の装飾に積極的で住要求も高く、日常生活においては豊かな趣味等の余暇活動を楽しんでいたり、外での活動にも積極的である。このような人々は、年齢も若く、身体機能の衰えも進行していない場合が多い。 2.Bケアハウスでは、定員30名で、開設後5年弱で計31名の退去者があった。彼らの退去理由は、死亡が5名、病気や心身機能の低下によるものが14名、それ以外が11名、不明1名であった。病気や心身機能の低下によって退去に至った14名は、いずれもデイサービスやヘルパー、訪問看護等の在宅サービスを利用しながらケアハウスでの生活を継続していたが、退去を余儀なくされている。退去先については、病院5名、老人保健施設3名、残りの6名は子ども等の住宅である。
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